注目キーワード

心のバリアフリーをちょっとだけ

年を取っていくと、介護が必要になったりしますね。

つい最近まで両親の介護をしていましたが、足が悪かったり、体調が悪かったり、機嫌が悪かったりして、病院や理容室などどこかに連れていくのがすごく大変でした。

 

家から離れている理美容室に行っていた方が、遠くのお店に行けなくなり当店に来られる場合があります。

住宅街の中にある理容室なので、家から近く利用しやすいためです。

 

逆にその反対もあるかもしれません。

当店に来られていたお客様が、家から近いお店に変わることだってあると思います。

 

 

 

先日も、なかなか思うように体が動かず、やっとの思いでご家族とご来店のお客様が。。。

ちょっとずつ歩いて理容椅子にご案内、カット、シェービング、シャンプー、セット。。

上着を脱いでいただいたり、お着せしたり、マスターと二人でなんとか無事に終えて、ホッとしながらご家族にお迎えに来ていただきました。

 

すると次の日、娘さんがお菓子を持ってきてくださり、マスターは不思議そうにしていました。

「普通のことをしているのだし、料金をいただいているのになんでだろう」と。。

マスターはありがたくお菓子を頂戴して「普通のことをしているだけなので、これからは気を使わないでください」とお話したとのこと。。。

マスターの言うとおり、仕事をして料金をいただいているので、本当に気を使わないで大丈夫なのです。

 

ただ、私は両親の介護をしていたので娘さんの気持ちがよくわかります。

私の親もたくさんの人の親切にずいぶん助けられました。

バスに乗れば席を譲られ、役所に杖をもらいに行けば優しく父に杖の使い方を教えてくれて、タクシーに乗れば優しいドライバーさんに助けられました。

介護は状況がどんどん変わるので慣れることがなく世話をする方は心に余裕がないので、人のちょっとしたことでもすごく助かり、感謝の気持ちが溢れてくるのです。 

 

 

当店は本来は女性のカット等はしないのですが、マスターはお年寄りの方はなるべく女性も「出来る範囲」で受け入れるようにしています。

とはいっても、普通の小さな理容室ですからバリアフリーの設備も整っていませんし、人手もありませんし、介護の技術もありません。

お客様の状態や時によっては、やむなくお断りしなければならないこともあります。

いつも受け入れさせていただいていたお客様を、次にはお断りしなければならないことだってあるのです。

 

申し訳ない気持ちがありますが、それは仕方がないのですね。

 

また、それと反対に、お客様の方でお店の階段が登れなくなったり、お客様がいつも利用されているデイサービスや施設でカットをするようになったりすることも当然あります。

 

介護は状況がどんどん変わるので、その時その時の良いと思われる環境を選択していって、ご本人様もご家族様も、周囲の方達もみんなで笑顔でいられたら良いですよね。

 

だから「地域に貢献しています」だなんて大それたことは言いませんし、言えません。。。

住宅街の小さな理容室の出来る範囲で、心のバリアフリーをちょっとだけ。。。

マスターの言う「普通のこと」の範囲でやっています。。。